
マンションを親から相続したら、まず**名義変更(相続登記)**が必要です。相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産を相続したことを知った日から原則3年以内に手続きを行わなければなりません 。名義変更をしないと、所有者が不明のまま売買や活用に支障が生じます。実際、国土交通省の調査では、所有者不明土地のうち約66.7%が相続登記をしていないことに起因しており、放置された土地は全国で約410万ヘクタールにも上ると報告されています 。このような背景から、相続したマンションの名義変更は早めに行うことが推奨されます。当社Torus不動産合同会社(岡山市)は相続相談にも対応可能ですので、初回無料相談をご利用ください。
相続登記義務化の背景と期限
かつて相続登記は任意でした。その結果、相続で取得した不動産の名義が旧所有者(被相続人)のまま放置され、所有者不明土地問題の原因になっていました 。こうした土地の活用を妨げる問題を解消するため、2024年4月1日から相続登記が義務化されました 。そのため2024年4月1日以前に相続が発生している物件についても、新制度発足から3年以内(2027年3月31日まで)に登記申請をしなければなりません 。つまり、相続発生の時期にかかわらず、現在は早めに相続登記を完了する必要があります。不当な理由なく期限を過ぎた場合、10万円以下の過料が科される可能性があります 。
名義変更(相続登記)の手続きの流れ
相続登記は以下の流れで進めます。必要書類をそろえたうえで司法書士に依頼するか、自分で法務局に申請します(以下、必要に応じて専門家へ相談を)。
- 遺言書の確認:まず被相続人の遺言書が残されていないか探します。遺言書があれば、その内容に従ってマンションを引き継ぐ相続人が決定します。
- 相続人・財産の調査:被相続人の戸籍や除籍をさかのぼり、相続人を確定します。隠し子の有無なども含め、すべての相続人を把握することが重要です。さらに、相続財産(預金や不動産、負債など)の全容を明らかにします。
- 遺産分割協議:遺言書がない場合、相続人全員で遺産の分割方法を話し合います。相続人の合意(遺産分割協議)で分け方が決まり、その内容を遺産分割協議書にまとめます。相続人全員の同意がないと協議は成立せず、登記手続きも進められません 。遺言書と異なる分け方にしたい場合も相続人全員の合意が必要です。
- 相続税の申告・納付(※該当者のみ):相続税が発生する場合、相続開始を知った翌日から10ヵ月以内に申告・納税します 。現金納付が原則で、納税資金を確保するために物件を売却する場合、事前に名義変更を済ませておく必要があります。
- 相続登記申請:必要書類をそろえて管轄の法務局へ相続登記を申請します。相続したことを知った日から3年以内(2024年4月1日以降に相続が開始した場合)に手続きを完了させる必要があります 。2024年4月1日以前の相続では、施行日(2024年4月1日)から3年以内または取得を知った日から3年以内のいずれか遅い方が期限となり、2027年4月1日までに登記を終える必要があります 。手続きには登録免許税(マンションの固定資産税評価額×0.4% )の納付が必要です。
必要書類(ケース別)
相続登記に必要な書類は、分割方法ごとに異なります。主な例を下記に示します。
- 遺言による分割
- 遺言書(原本)
- 遺言者(被相続人)の除籍謄本(出生から死亡までの記載があるもの)
- 遺言で財産を承継する相続人・受遺者全員の戸籍謄本・住民票または戸籍の附票
- 固定資産評価証明書(マンションの評価額が分かるもの)
- 遺産分割協議による分割
- 遺産分割協議書(相続人全員が実印を押印したもの)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本および除住民票(または戸籍の附票)
- 相続人全員の戸籍謄本、住民票または附票(住所確認用)
- 固定資産評価証明書
- 法定相続による分割(※協議がまとまらない場合など)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本および除住民票(戸籍の附票)
- 相続人全員の戸籍謄本(現在の)
- 固定資産評価証明書
※上記以外に、相続登記申請書や印鑑証明書、登記識別情報などが必要です。詳細は岡山法務局や司法書士に確認してください。
名義変更にかかる費用
名義変更の費用は主に次の通りです。
- 調査費用:司法書士が登記事項証明書などを取得する費用。インターネット請求で1件あたり332円程度が一般的です。
- 書類取得費用:戸籍謄本(1通750円)、除籍謄本(同750円)、戸籍の附票(300~400円)、住民票(300円)、固定資産評価証明書(約300円)など、数千円程度です。
- 登録免許税:不動産の固定資産税評価額×0.4% 。例えば評価額4,000万円のマンションなら16万円です。
- 司法書士報酬:登記手続きを専門家に依頼すると、相場で約6~7万円程度です(内容により変動)。
これらの諸費用はケースにより異なります。特に登録免許税は評価額に比例するため、事前に固定資産評価証明書で確認すると計画が立てやすくなります。
相続税の計算と控除・特例
相続税が発生する場合、まず遺産総額から「基礎控除額」を差し引きます。基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」です。残った課税対象額に税率をかけて各相続人の相続税額を計算します。 の例では、法定相続人が配偶者と子1人の2人で、課税遺産総額が2,800万円のケースで配偶者・子ともに1,400万円ずつ相続した場合、税率15%で計算し50万円を控除すると税額はそれぞれ160万円となります(合計320万円)。
配偶者控除により、配偶者が相続する金額のうち最低1億6,000万円または法定相続分までのいずれか大きい方までは相続税がかかりません 。多くの場合、配偶者はこの控除で相続税を免れることができます。
また、小規模宅地等の特例を使えば、被相続人の自宅敷地など一定の土地が最大330㎡まで80%減額されます 。賃貸していた土地(貸付事業用宅地)は200㎡まで50%減額となります 。これらの特例により、相続税が大幅に軽減できる場合があります。その他、条件により取得費加算の特例なども活用できます。配偶者居住権は相続税の節税措置ではなく、配偶者の住まいを確保する制度です。
相続後のマンションの活用方法
相続したマンションは、用途や今後のライフプランに応じて次のような選択肢があります。それぞれメリット・デメリットや税金面を比較して検討しましょう。
- 自分で住む:親のマンションを無償で引き継げます。固定資産税・都市計画税は発生しますが、家賃収入は不要です。ただし築年数が経っている場合はリフォームや修繕費が必要になることがあります。相続税の納税義務があれば課税されます。
- 売却する:まとまった資金が得られます。相続税の納税資金を確保したり、老朽化した物件を手放したりする場合に有効です。ただし、土地・建物ともに売却益(譲渡所得)が生じると、譲渡所得税(所得税・住民税)が課税されます。また、売却後は賃貸運用ができなくなる点がデメリットです。
- 買取を利用する:仲介ではなく不動産会社が直接買い取る方法です。即時に現金化できるため、相続税の納税期限までに処理したい場合に有効です(※当社Torus不動産も買取実績があります)。短期間で売れる反面、相場より低めの価格になる傾向があります。税金面では一般売却と同様に譲渡所得税が課税されます。
- 賃貸経営する:賃料収入が得られ、資産運用の可能性があります。ただし築古のマンションでは空室リスクや修繕費の負担があります。所有中は固定資産税・都市計画税が発生し、賃料収入には所得税(不動産所得税)が課税されます。
よくある質問
- 賃貸中のマンション相続では借主に連絡が必要? はい。相続により家賃の振込先が変わるため、新しい振込先を賃借人に伝える必要があります。また、敷金の返還義務は相続人が引き継ぎますので「敷金返還は相続人が責任をもつこと」も賃借人に知らせます。
- 名義変更は自分でできる?司法書士に依頼すべき? 手順さえ把握していれば自分でも可能ですが、戸籍収集や書類作成、申請方法など煩雑です。特に初めての場合は司法書士に相談・依頼したほうが安心です(当社提携の司法書士紹介も可能です)。無料相談で手続の流れを確認してから判断するとよいでしょう。
- マンションだけ相続放棄できる? 相続放棄は「最初から相続人でなかったことにする」制度で、相続した全財産を放棄するものです。マンションだけ放棄することはできません。負債も含めた遺産全体で判断する必要があります。
- 複数の兄弟が共有名義の場合、売却できない? 複数人で共有している不動産の売却は、共有者全員の同意が必要です 。誰か1人でも反対すれば売却はできません。共有状態を解消するには他の相続人の同意を得て売却、もしくは共有持分を分割する手続(法的には「共有物分割請求」)が必要です。
- 相続以外のタイミングで名義変更することは? 相続前に親から贈与や売買でマンションを取得した場合は、その時点で名義変更が行われます。ただし贈与税や不動産取得税がかかるため、相続後まで名義変更を遅らせるケースもあります(2024年以降は相続登記が義務化された点に留意してください)。
- 遺言書がない場合、誰が名義人になる?兄弟間で話し合いが必要? 遺言書がなければ遺産分割協議でどの相続人がマンションを取得するか決めます。協議がまとまればその結果を登記に反映します。兄弟で売却して現金化する場合は、まず共有名義(法定相続分で共有登記)とし、全員の合意のもと売却するのが一般的です。
まとめ
岡山市でマンションを相続した際は、名義変更(相続登記)が必須です。2024年4月からはすべての相続に相続登記が義務化され、期限内(相続を知ってから3年以内)に手続きを行わないと罰則が科される恐れがあります 。スムーズな名義変更のためには、まず遺言書の有無確認・相続人調査・遺産分割協議などを進め、必要書類をそろえて手続きします。相続税や特例についても正しく理解し、節税対策を検討しましょう。当社Torus不動産合同会社では岡山市内の不動産取引・相続相談に豊富な実績があり、相続登記など各種手続きの無料相談を受け付けています。ご不明な点やお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。