近年、空き家の数は増加しており、使用されていない空き家がこの20年で約2倍になっています。放置された空き家は、倒壊や景観悪化、不法侵入といった問題を引き起こし、近隣住民や地域に迷惑をかける可能性があります。
こうした問題に対応するため、「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家法)が制定され、危険な空き家を「特定空家」として指定し、市区町村による指導や解体が可能となりました。さらに令和5年(2023年)の改正により、空き家の解体や活用、適切な管理を推進する対策が強化されています。
「空き家の管理に悩んでいる」という方は、早めに専門家に相談を。
早めの行動が、地域とご自身の安心につながります!
空き家とは
空き家とは「誰も住んでいない家」のことをいいます。
空き家は、持ち主だけの問題ではありません。そのまま放置してしまうと、建物が傷んで景観を損ねたり、害獣が住みついたりと、近隣の方々にも迷惑がかかる可能性があります。「いつか対処しよう」と考えて放置していると、時間がたつほど状態が悪くなり、近隣住民に迷惑をかけてしまうことも。
どのような事情であれ、空き家を所有する方には適切に管理する責任があります。
空き家放置のデメリット
空き家は所有者の適切な管理ができないと、様々な問題が出てきます。
近隣住民に迷惑をかけます
適切に管理されていない空き家は、建物が傷みやすく、台風で屋根や外壁が飛んだり、地震で倒壊する危険性が高まります。また、害虫やねずみが発生したり、ごみの散乱や外壁の汚れ・破損が目立つなど、衛生面や景観にも悪影響を与える可能性があります。
さらに、腐敗したごみによる悪臭や、不法侵入者の出入りで周辺の治安が悪化することも。また、空き家の木の枝が近隣の建物を傷つけるなど、周りの住民に迷惑をかける場合があります。屋根や外壁が落下して通行人や近隣の建物に損害を与えた場合、損害賠償責任を問われる可能性も否定できません。
空き家を放置すると、所有者だけでなく地域全体に影響が及びます。空き家はきちんと管理し、トラブルを未然に防ぐことが大切です。
罰則が適用されたり、
強制撤去されたりすることがあります
空き家が倒壊の危険性が高い、または周囲に悪影響を及ぼしていると判断されると、その空き家は「特定空家」に指定される場合があります。「特定空家」に指定された場合、市区町村から所有者に対して以下のような対応が行われます。
- 助言や指導
適切な管理を促すために、市区町村から助言や指導が行われます。 - 勧告や命令
助言や指導を受けても改善が見られない場合、さらに強い措置として勧告や命令が行われます。 - 過料や強制撤去
命令に従わない場合、所有者に対して50万円以下の過料が科されることがあります。また、状況によっては行政が強制的に撤去を実施する場合もあります。
「特定空家」に認定されると、所有者にとって大きな負担やリスクが発生します。空き家の放置は、周囲への影響だけでなく、所有者自身の責任問題にもつながるため、早めに適切な対策を講じることが重要です。
資産価値の減少問題
建物は時間の経過とともに劣化し、資産価値が下がります。特に、人が長年住んでおらず、管理も行き届いていない空き家は、経年劣化が一層進みやすくなります。
適切な手入れをせずに空き家を放置すると、老朽化が進み、資産価値が大幅に下がる可能性があります。その結果、安い価格で売却せざるを得なくなったり、建物を解体する以外の選択肢がなくなることもあります。
維持費問題
空き家を所有している間には、以下のような維持管理費が発生します。
- 固定資産税、都市計画税
- 管理費用(巡回、清掃、庭木の手入れ、管理委託料など)
- 水道・電気料金などの光熱費
- 管理費・修繕積立金(マンションの場合)
- 火災保険料経年
- 劣化による修繕費
これらの費用は空き家の維持において無視できない負担となります。しかし、一部の費用負担を軽減する制度も存在します。たとえば、「住宅用地」に該当する場合、固定資産税に特例が適用されることがあります。
固定資産税及び都市計画税の軽減措置
種類 | 小規模住宅用地(200㎡以下) | 一般住宅用地(200㎡超) |
---|---|---|
固定資産税 | 課税標準の6分の1に減額 | 課税標準の3分の1に減額 |
都市計画税 | 課税標準の3分の1に減額 | 課税標準の3分の2に減額 |
このような特例がある一方で、空き家を長期間所有し続けると、経年劣化や管理不足が原因でトラブルに発展する可能性があります。負担を減らし、問題を未然に防ぐためには、早めの対応が重要です。
ただし、空家法に基づく勧告を受けた特定空家の敷地や、居住のために必要な管理がなされておらず、今後居住する見込みがない空き家の敷地については、この軽減措置が適用されなくなる場合があります。
相続不動産未登記放置の問題
空き家となる住宅の取得理由で最も多いのは「相続」です。この割合は、全体の半数以上を占めています。
相続が始まると、「遺産分割協議」や「相続登記」などの手続きが必要になりますが、これらが完了する前に相続人の一人が亡くなることがあります。このような場合、新たに次の相続が始まり、これを「数次相続」と呼びます。
数次相続が発生すると、当初の法定相続人の相続人(さらに離れた親族)が新たな財産の受取人となることがあります。その結果、普段あまり交流のない相続人が増え、意見がまとまりにくくなり、トラブルが起きやすくなります。
さらに、相続登記が進まないまま時間が経過すると、空き家が放置されることが多く、物件の老朽化や地域への影響など、二次的なトラブルを引き起こすリスクが高まります。
空き家を放置しないために
空き家法改正により、所有者には「適切な管理の努力義務」に加えて、「国や自治体の施策への協力義務」が課されるようになりました。空き家を長期間放置すると老朽化が進み、売買や賃貸が困難になります。したがって、将来使用する予定がない場合は、早めに「売る」「貸す」「解体する」などの方針を決め、適切なサービスを活用して実行に移すことが重要です。
空き家の多くは相続が原因で発生します。親が元気なうちに、家をどうするかについてよく話し合うことが重要です。親の考えや希望を確認せずに相続すると、実家をどう扱うか決められずに放置されるケースが増えます。
また、愛着や将来の利用を期待して、売却や貸し出しをためらうこともあります。将来の空き家化を防ぐために、「誰が住むのか」「売却するのか貸すのか」などを事前に話し合い、明確な方針を決めておきましょう。
空き家を除却(解体)する
老朽化した空き家を解体する際には、国や市区町村の補助金が利用できる場合があります。お住まいの市区町村のホームページを確認したり、窓口に相談してみましょう。
また、市区町村によっては、民間事業者と連携して解体業者を紹介してくれるところもあります。
空き家を放置すると、老朽化や損傷が進んでしまいます。空き家のリスクを避けるためにも、早めに行動を起こしましょう。自分や家族、そして地域の安全を守るために、できることから始めてみてください。
空き家を改修する
空き家を「売る」や「貸す」などで活用を考える場合、事前に改修工事が必要になることがあります。例えば、「店舗として使いたいので耐震性を高めたい」「住宅として貸すために見た目を良くしたい」など、目的によって改修内容は異なります。まずは、どのような改修が必要かを建築士などの専門家に相談してみましょう。
また、一定の条件を満たす改修工事を行う場合には、国や地方自治体から補助金を受けられることがあります。「○○市 住宅 補助」などのキーワードで検索したり、該当する情報がまとめられたサイトを活用して、支援制度を調べてみてください。
国土交通省「住宅リフォームの支援制度※令和6年5月2日時点」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr4_000087.html
空き家の活用サービスを利用する
取り扱いエリアを絞っているからこそ、土地勘にも詳しく、地域内でのネットワークも駆使して、適切な売却価格のご提案、販売・買取活動を行っていきます。もちろんエリア外の売却相談もお任せください。
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空き家の売却に関する税制を活用する
空き家やその敷地を相続などで取得した場合、売却時に一定の条件を満たせば、譲渡所得から最大3,000万円が控除される特例措置を利用できます。この制度は、所得税や個人住民税の負担を軽減するものです。ただし、適用を受けるには、令和9年(2027年)12月31日までに売却することが条件となっています。
詳しい条件や手続きについては、下記をご覧ください。
国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)」
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000030.html
空き家の家財を片付ける
空き家を「売る」「貸す」「解体する」いずれの場合も、空き家に残された家財が問題になります。ご自身で片づけることもできますが、廃棄やリサイクルに向けた家財の分別、遺品整理などを行ってくれるサービスもありますので、ぜひ活用してみましょう。
空き家の管理サービスを利用する
空き家を「売る」「貸す」「解体する」までの間は、空き家を適切に管理することが大切です。忙しかったり、空き家が遠方にあったりして自分で管理できない場合は、空き家の管理代行サービスを利用しましょう。サービスの内容や費用は事業者によって異なりますが、見回りや報告書作成などを行ってくれるサービスもあります。
空き家のある市区町村に相談する
空き家をどうするべきか決められない、適切な管理方法が分からない、誰に相談すれば良いか分からないなどの悩みがある場合は、まず空き家のある市区町村の窓口に相談してみましょう。
市区町村が「空家等管理活用支援法人」に指定しているNPO法人などから、空き家の管理や活用に関する情報提供や、買いたい人・借りたい人とのマッチングサポートを受けられることがあります。また、市区町村によっては空き家セミナーを開催しているところもあります。