2025年、住宅ローン変動金利は上昇する?返済額への影響と対策を徹底解説

はじめに:変動金利の上昇で住宅ローンはどうなる?

2024年後半から、住宅ローンの変動金利に関するニュースが増えています。特に2024年10月にはメガバンクを含む多くの銀行で変動金利型ローンの金利引き上げが発表され、「変動金利で借りているけど固定金利に切り替えるべき?」「今から変動金利で借りるのは危険?」といった不安の声が広がりました。

本記事では、2025年5月〜6月時点の最新金利動向を踏まえ、変動金利上昇が住宅ローン返済額に与える影響や、返済額を抑える「5年ルール」「125%ルール」といった仕組みを解説します。不安を感じている方も、正しい知識を身につけて冷静に判断できるようぜひ参考にしてください。

変動金利は本当に上昇している?最新の金利動向

結論から言うと、変動金利はわずかながら上昇しています。 事実、主要銀行の住宅ローン基準金利(変動金利のもとになる金利)は約17年ぶりに引き上げられました 。具体的には、2024年9〜10月頃に短期プライムレートが年1.475%から1.625%へ0.15%引き上げられ、これに伴い大手銀行は変動型住宅ローンの基準金利を0.15%上げたのです 。さらに日本銀行の追加利上げを受けて2025年3月頃から短期プライムレートが年1.875%に上昇し、銀行によっては既存の住宅ローン金利をさらに0.25%程度引き上げました 。

ポイント: こうした金利引き上げの影響を強く受けるのは既に変動金利で借りている人(既契約者)です。新規に借りる人向けの変動金利は、各銀行が競争上の理由から優遇幅(割引幅)を調整することで据え置きにするケースも多く、実際にほとんどの金融機関では新規借入時の変動金利は大幅に上がっていません 。つまり、「既存の変動型ローンは多少金利アップ、新規の変動型ローンはこれまで通りの低金利」が現在の大きな流れです。

では、2025年6月時点で実際の住宅ローン金利水準はどの程度なのでしょうか?以下にメガバンク・地方銀行・ネット銀行それぞれの代表的な金利を見てみましょう 。

  • メガバンク(大手銀行): 新規借入時の変動金利はおおむね年0.5〜0.6%台となっています(例:三菱UFJ銀行・三井住友銀行は年0.595%、みずほ銀行は年0.525% )。10年固定金利は年1.8〜2.0%前後(三菱UFJ銀行1.83%、三井住友銀行1.95% )、20年固定は年2.4〜2.6%前後(三菱UFJ銀行2.55%、三井住友銀行2.45% )となっており、固定金利は変動に比べて高めです(※りそな銀行は商品内容により数値が異なり、10年固定2.235%、20年固定3.685%と高め )。なお2025年6月にはメガバンク各行が10年固定を前月比+0.15〜0.20%程度、20年固定を一律+0.25%引き上げており固定金利が上昇傾向にある点も押さえておきましょう 。
  • 地方銀行: 地域にもよりますが、地方銀行の変動金利も年0.6〜0.7%程度が主流です。例えば岡山県を地盤とする中国銀行では変動金利年0.60%、10年固定年1.40%と設定されています 。同じ中国地方の広島銀行では変動金利年0.70%、10年固定年2.30%と銀行によって差があります 。地方銀行はメガバンクほど超低金利の商品は多くありませんが、その分きめ細かい対面相談や柔軟な審査対応が期待できます 。
  • ネット銀行: ネット専業銀行は金利の低さで有利な商品が多い傾向があります。2025年6月時点で見ると、例えば住信SBIネット銀行は変動金利年0.698%(10年固定1.599%)、PayPay銀行は変動年0.73%(10年固定1.37%)といった具合です 。一方で楽天銀行は変動年1.004%auじぶん銀行は年0.834% など各社でばらつきがあります。ネット銀行は基本的に全国どこからでもネット申込でき、店舗維持コストが低い分金利が低めですが、対面サポートが少ない点には注意が必要です 。

こうした最新動向をまとめると、変動金利は依然として1%を下回る超低水準に据え置かれているものの、昨年から今年にかけて0.15〜0.25%程度の小幅な上昇が見られます。また固定金利はこの半年で0.2%前後上昇しており、**「変動は横ばい~微増、固定は上昇」**という二極化が進んでいる状況です 。

変動金利が0.15%上がると返済額はいくら増える?【シミュレーション】

金利が上がると住宅ローンの毎月返済額が増えるのは確かですが、その増加幅は思ったほど大きくありません。 実際に変動金利が0.15%上昇した場合、毎月の返済額がどの程度増えるのかシミュレーションしてみましょう(※元利均等返済・借入期間35年・ボーナス返済なしの場合)。ここでは現在多くの銀行で適用されている年0.6%前後の金利が**年0.75%**に上昇するケースを想定します。

  • 借入額3,000万円の場合:金利0.60%なら月々約7万9,000円の返済が、0.75%では約8万1,000円になります。増加額は月約2,000円程度です 。
  • 借入額3,500万円の場合:金利0.60%なら月々約9万2,000円→0.75%で約9万5,000円となり、増加額は月約2,300〜2,400円程度になります。
  • 借入額4,000万円の場合:金利0.60%なら月々約10万6,000円→0.75%で約10万8,000円となり、増加額は月約2,700円程度となります。

📌増加幅は想像より小さい? 上記のように、0.15%の金利上昇につき毎月数千円程度の負担増にとどまります。実際、2024年9月の短期プライムレート引き上げ(年0.15%上昇)時も、借入額3,000万円では毎月の返済額が約1,926円増える試算結果が出ています 。当初の借入額が極端に大きくなければ、月々の返済額がいきなり1万円以上も増えるケースは稀だと言えるでしょう。

**既に返済中の方へ:**負担増はさらに限定的

現在すでに変動金利で返済中の方は、「金利が上がったら毎月の支払いが急に増えるのでは?」と心配かもしれません。しかし、過度に心配する必要はありません。なぜなら、多くの住宅ローンでは後述する**「5年ルール」「125%ルール」によって急激な返済額アップが抑えられる**仕組みになっているからです 。

さらに言えば、借入から年数が経って元本が減っている人ほど影響は小さくなります。たとえば7年前に借入したケースや10年前に借入したケースでは、残高が減っているぶん金利上昇による増額は同じ借入額の新規ローンより小さくなります。実際の試算でも、いずれのケースでも金利0.15%アップによる月返済増加額は1,000〜2,000円弱に収まる結果が出ています(※元本の減少や利息計算方法によって異なります)。

対策: 金融機関から金利見直しの案内が来て不安な方は、まず借入先の銀行の公式発表を確認しましょう。各銀行のホームページには「〇〇年△月の金利改定のお知らせ」といったリリースが出ています。自分の借入金利が何%になったのかを把握し、家計への影響額(月何円増えるか)を試算してみましょう。増額幅が小さいとわかれば心理的な負担も和らぐはずです。どうしても不安な場合は、後述する固定金利への借り換え検討も選択肢ですが、まずは現在の返済額に対して増加分がどの程度か冷静に確認することが大切です。

金利上昇でも安心?変動金利の「5年ルール」「125%ルール」

変動金利型ローンには、金利上昇時に返済額の急増を抑えるための**「5年ルール」「125%ルール」**という仕組みがあります。これは多くの金融機関で採用されているルールで、変動金利で住宅ローンを組む際にはぜひ知っておきたいポイントです 。

  • 5年ルールとは? 変動金利が上がっても、5年間は毎月の返済額を据え置くというルールです 。通常、変動金利型ローンは半年ごとに適用金利が見直されます。本来であれば金利が変わるたびに返済額も見直されるところ、5年ルールのおかげで借入から5年間(または直近の金利変更から5年)は返済額が一定に保たれます 。そのため、「金利が上がったら毎月の支払いがすぐ増えて家計が圧迫される…」といった心配を少なくとも5年間はしなくて済むメリットがあります 。 ※注意点: 5年ルールが適用されていても利息部分と元金部分の内訳比率は見直されており、金利上昇局面では月々の支払いのうち利息の占める割合が増える点に留意しましょう 。返済額自体は変わらなくても、利息ばかり支払って元金がなかなか減らなくなる恐れがあるのです 。
  • 125%ルールとは? 金利上昇によって5年後に返済額を増やす場合でも、「直前の返済額の125%まで」しか増額できないという上限ルールです 。例えば5年ルール適用中の毎月返済額が10万円だった場合、5年後に金利が上がっても次回返済額は最大12万5,000円までに抑えられます 。急激な負担増を避けるための安全装置と言えます。 ※注意点: 125%ルールが適用されるケースは、金利が急上昇した極端な場合に限られます。日本は長期間にわたり超低金利が続いており、過去に125%ルールの上限いっぱいまで返済額が上がった事例は現実にはほとんどありません 。もっとも、理論上は125%ルールによって不足分の利息(未払利息)が発生し、返済期間が延びたり後年に負担が先送りされるリスクも指摘されています 。ただし繰り返しになりますが、よほどの急激な金利上昇でない限り心配しすぎる必要はないでしょう。

💡このように、変動金利型には「当面の返済額が急増しないようにする仕組み」が備わっています。実際、銀行側も契約者に返済不能リスクが生じるほどの極端な金利引き上げは行っていません。2024年~2025年にかけての利上げ幅も0.15%〜0.25%とごく小さいものでした。金利上昇局面には上記ルールのデメリット(利息ばかり払う状態になる可能性)もありますが、「急に返済が苦しくなるのでは」と過度に不安視する必要はないと言えるでしょう。

今後の変動金利はどうなる?固定金利への切り替えは必要?

「今後、変動金利はもっと上がるの?」これは誰もが気になる疑問ですが、正直なところ将来の金利動向を正確に予測することは困難です。日銀の金融政策や経済情勢によって左右されますし、銀行間の競争状況も影響します。ただし、いえることがあるとすれば、住宅ローン金利は株価のように乱高下するものではないという点です。

前述のとおり、今回(2024〜25年)の変動金利引き上げは17年ぶりの出来事でした。それほど日本の住宅ローン金利は長らく安定して低水準だったのです。今後もし利上げが続く場合でも、段階的かつ慎重に判断される可能性が高いでしょう 。なぜなら住宅ローン金利の急上昇は利用者の生活に大きな影響を与え、銀行にとっても貸し倒れリスクが高まるためです。銀行各社は借り手離れを防ぐため、新規借入金利を据え置いたり独自の優遇策を講じるなど金利引き上げに慎重になっています 。現に2025年6月現在も、多くの銀行で変動金利は据え置きが続いています 。大きなトレンドとしては、しばらくは変動金利は緩やかな上昇に留まりそうだと考えられます。

また、金利の上昇は本来景気や物価の上昇(好景気)とセットで起こるものです。仮に今後住宅ローン金利がさらに上がっていく局面になったとしても、そのときは日本経済も上向きであり、働く人の所得も増えている可能性が高いでしょう。そう考えれば、金利上昇はそれほど過度に恐れるものではないとも言えます。大切なのは、「金利が上がるから不安だ」と短絡的に判断するのではなく、自分たちのライフプランに合った住宅ローンを選ぶことです。

固定金利への切り替えは必要?

現在変動金利で借りている方で「固定金利にすべきか?」と悩む方も多いでしょう。固定金利は将来の金利上昇リスクを避けられる安心感がメリットですが、その代わり**当初から金利水準が変動より高め(毎月の支払い額も多め)になります。例えばメガバンクの10年固定は2025年6月時点で約1.8〜2.0%台と、変動金利(約0.5〜0.6%台)より年1%以上高い のが現状です。「今後5年以内に何度も大幅な利上げが行われる」**といったシナリオでない限り、トータルの支払利息額では変動型の方が有利になるケースが多いでしょう 。

とはいえ、金利の先行きは絶対ではありません。精神的な安心を重視したい方や、どうしても今後の金利上昇が心配で夜も眠れない…という方は、思い切って固定金利に切り替えて安心を買うのも一つの選択肢です 。特に子育てや教育費などで将来の出費が読みにくい場合、毎月返済額が一定の固定金利にすることで家計管理がしやすくなるメリットもあります。

結論: 迷った場合は専門家に相談しつつ、「金利上昇リスクと現在の支払額のバランス」で判断しましょう。極端な利上げが想定しにくい現状では、依然として低金利の変動型も有力な選択肢です。一方で安心料と割り切って固定型を選ぶのもアリです。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、ご家庭の状況に合った賢い選択をしてください。

まとめ:低金利時代だからこそライフプランに合ったローン選びを

2024年後半から約17年ぶりの利上げが行われ、2025年にかけて変動型住宅ローン金利は0.15〜0.25%程度上昇しました。しかし、その上昇幅はごく小さく、返済額への影響は月に数千円程度と限定的です。さらに変動金利型には**「5年ルール」や「125%ルール」があり、たとえ金利が上がっても直ちに返済額が大幅増になるケースは稀です。現在も変動金利は多くの銀行で年0%台後半と低金利水準を維持しており、急激な上昇トレンドにはありません 。依然として住宅ローンを考える上で変動金利型は有力な選択肢**だと言えるでしょう。

一方で、固定金利は徐々に上昇傾向にあります。将来の金利変動が心配な場合は、固定金利型の検討や借入額を抑える工夫も大切です。たとえば頭金を増やして借入金額を減らす、諸費用の安い住宅ローン商品を選ぶ、火災保険料の割安な保険会社を選ぶ等、金利以外の部分でも総支払額を減らす工夫ができます。金利ばかりにとらわれず、トータルで賢く住宅ローンを組みましょう。

**当社・Torus不動産合同会社(岡山市)では、**住宅購入時の資金計画やローン相談から、不動産売却・賃貸管理まで幅広くサポートしております。岡山エリアの不動産事情に精通したスタッフが、変動金利と固定金利のどちらを選ぶべきかといったご相談にも丁寧に対応いたします。低金利時代の今だからこそ、将来を見据えた住宅ローン選びが重要です。疑問や不安がある方はぜひお気軽にご相談ください。お客様に最適なプランをご提案させていただきます。