
「そろそろマイホームを」と考え始めたとき、多くの方が最初に直面するのが「お金」の問題です。特に、ご自身の世帯年収で、一体いくらくらいの家が建てられるのか、具体的なイメージが湧かないという方も多いのではないでしょうか。
こんにちは、ファイナンシャルプランナーの西崎です。今回は、岡山県にお住まいで、世帯年収600万円の子育て世帯をモデルケースに、「岡山で家を建てる際の、現実的な総費用」について、専門家の視点から分かりやすく解説していきます。
最近では返済期間を40年や50年で組める住宅ローンも増えてきました 。今回は、主流になりつつある「40年ローン」を前提とした場合の資金計画を見ていきましょう。
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1. 最初の落とし穴?「いくら借りられるか」と「無理なく返せるか」は違う
家づくりを考え始めると、多くの方がまず住宅ローンシミュレーターで「いくら借りられるか」を調べるかと思います。年収600万円の場合、金融機関によっては4,000万円以上の借入が可能と表示されることもあり、「これなら立派な家が建てられそうだ」と期待が膨らむかもしれません。
しかし、ここで一つ注意が必要です。金融機関が提示する「借入可能額」は、あくまで返済能力の上限であり、その金額を借りてしまうと、毎月の返済が家計を大きく圧迫してしまう可能性があります。
家づくりで最も大切なのは、「無理なく、安心して返済を続けられる借入額」を知ることです。
FPが推奨する「返済負担率」の考え方
一般的に、無理のない返済計画を立てる上での指標として「返済負担率」というものがあります。これは年収に占める年間返済額の割合のことで、多くの専門家は「手取り年収の20%~25%」に収めることを推奨しています 。
額面の年収ではなく、税金や社会保険料が引かれた後の「手取り年収」で考えるのが、より現実に即した計画を立てるコツです。
2. 世帯年収600万円の現実的な住宅ローン借入額は?(40年ローン版)
それでは、具体的に計算してみましょう。
- 世帯年収(額面): 600万円
- 手取り年収の目安: 約460万円~480万円(額面の約75%~80%)
- 無理のない年間返済額(返済負担率25%で計算): 470万円 × 25% = 約117.5万円
- 無理のない月々返済額: 117.5万円 ÷ 12ヶ月 = 約9.8万円
月々の返済額を約9.8万円に設定した場合、40年ローンではどのくらいの借入が可能なのでしょうか。
【シミュレーション条件】
- 金利:1.5%(全期間固定を想定)
- 返済期間:40年
- ボーナス払い:なし
この条件で計算すると、借入額の目安は約3,600万円となります。
35年ローンで試算した場合の借入額(約3,360万円)と比較すると、同じ月々の返済額でも、より多くの金額を借り入れできる可能性があるのが40年ローンの特徴です 。これにより、土地や建物の選択肢が少し広がるかもしれません。
3. 岡山のリアルな総費用。「建物代」以外にかかるお金とは?
借入額の目安がわかったところで、次に岡山で家を建てるために必要な「総費用」を見ていきましょう。家づくりにかかる費用は、大きく分けて以下の3つで構成されています 。
- 土地取得費(総費用の約25~35%)
- 建物建築費(総費用の約60~70%)
- 諸費用(総費用の約5~10%)
見落としがちなのが「諸費用」です。これには、登記費用、住宅ローン手数料、各種税金、火災保険料などが含まれ、現金で用意する必要がある場合も多いため、あらかじめ予算に組み込んでおくことが非常に重要です 。
岡山県の土地・建物の相場観
では、岡山県の具体的な相場を見てみましょう。
- 土地の相場: 岡山県の平均土地取得費は約1,027万円です 。子育て世帯に人気の岡山市北区や中区で40~50坪の土地を探す場合、坪単価25万円~30万円程度が目安となり、土地代として 1,000万円~1,500万円ほど見ておくとよいでしょう 。
- 建物の相場: 岡山で実績のある工務店やハウスメーカーの場合、坪単価は70万円前後がひとつの目安となります 。30坪~35坪の家を建てるとすると、建物本体の費用は 2,100万円~2,450万円程度となります。
これらの情報を基に、世帯年収600万円のご家庭の現実的な資金計画をシミュレーションしたのが、次の表です。
4. 【まとめ】世帯年収600万円・岡山での資金計画シミュレーション(40年ローン版)
項目 | 金額範囲 | 算出根拠・解説 |
総予算 | 3,900万円 ~ 4,500万円 | 岡山県の土地付き注文住宅の平均総額 も参考にしつつ、40年ローンで無理なく返済できる範囲から算出した現実的な目標範囲です。 |
資金調達:住宅ローン | 3,400万円 ~ 3,800万円 | 月々の返済額(約9.6万~10.8万円)を返済期間40年でシミュレーションした現実的な借入額です。 |
資金調達:自己資金(頭金) | 500万円 ~ 700万円 | 総予算からローン借入額を差し引いた金額。この額を準備できるかが、計画の実現性を左右します。 |
費用配分:土地取得費 | 1,000万円 ~ 1,500万円 | 岡山市中心部から少し離れたエリアや、倉敷市、総社市などで40~50坪の土地を想定した価格帯です 。 |
費用配分:建物建築費 | 2,300万円 ~ 2,700万円 | 延床面積30~35坪を想定。借入額が増えることで、建物の仕様や広さに少し余裕を持たせられる可能性があります 。 |
費用配分:諸費用 | 200万円 ~ 250万円 | 注文住宅の場合、諸費用は土地・建物価格の合計の3~6%が目安とされています 。今回のシミュレーションでは約200万円~250万円を見ておくとよいでしょう。登記費用、ローン手数料、税金などが含まれます。 |
想定月々返済額 | 約9.6万円 ~ 10.8万円 | 上記借入額を金利1.5%、返済期間40年でシミュレーション。手取り月収に対する返済負担率を25%以内に抑えた、生活に無理のない範囲です 。 |
5. 40年ローンを賢く活用するための3つのポイント
40年ローンは月々の返済額を抑えられる一方で、注意すべき点もあります。メリットを最大限に活かすために、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 総返済額の増加を理解しておく 返済期間が長くなる分、支払う利息の総額は35年ローンよりも多くなります 。月々の支払いが楽になるというメリットの裏側で、トータルコストは増えることをしっかり認識しておくことが大切です。
- 「繰り上げ返済」を積極的に検討する 総返済額を減らすために有効なのが「繰り上げ返済」です 。お子様の教育費がかからない時期や、収入に余裕ができたタイミングで繰り上げ返済を行うことで、返済期間を短縮し、支払う利息を減らすことができます。40年ローンを組む際は、将来的な繰り上げ返済を計画に含めておくと良いでしょう。
- 完済時の年齢を意識する 例えば30歳で40年ローンを組むと、完済は70歳になります。定年退職後も返済が続く可能性があるため、退職金や年金収入なども含めた長期的な返済計画を立てておくことが重要です 。特に20代など、若いうちにローンを組む場合にメリットが大きいプランと言えるかもしれません 。
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まとめ
40年ローンは、月々の家計負担を抑えながらマイホームの夢を叶えるための有効な選択肢の一つです。世帯年収600万円でも、岡山で注文住宅を建てることは決して非現実的な話ではありません。
大切なのは、40年ローンのメリットとデメリットの両方を正しく理解し、ご自身のライフプランに合った「無理のない返済計画」を立てることです。
今回ご紹介したシミュレーションは、あくまで一つのモデルケースです。ご家庭の状況によって最適な計画は異なりますので、ぜひ一度、信頼できるファイナンシャルプランナーや、地域の事情に詳しい不動産会社、工務店に相談してみてください。
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