
家の中で小さなアリを見つけると、「シロアリじゃないし、一匹くらいなら放っておいても大丈夫かな?」と思ってしまう方もいるかもしれません。しかし、アリは放置せず早めに対策することが大切です。頻繁に室内で見かけるようなら、被害が広がるリスクがあるため注意しましょう。今回は、一戸建てにお住まいのファミリー世帯にも役立つ、アリ退治のポイントや侵入させないためのコツをご紹介します。お住まいを快適・安心に保つ参考にしてください。
室内のアリを放置してはいけない理由
アリはシロアリのように建物自体を食べてしまうことはありませんが、室内に発生したアリをそのままにしておくと次のような被害のおそれがあります。
- 食べ物に群がる: アリの種類によっては砂糖など甘い物だけでなく、肉や魚などさまざまな食品をエサにします。そのため家の中で繁殖すると、キッチンや食卓に置いた食べ物が次々に狙われてしまう可能性があります。
- 人がかまれる: アリの中には人間の肌をかんでしまう種類もいます。小さなアリでも噛まれるとチクッと痛みやかゆみを感じることがあり、お子様がいるご家庭では特に注意したいポイントです。
- 家具・家電に入り込む: アリは狭い隙間にも侵入できるため、家具の裏や家電製品の中に入り込むことがあります。電子レンジやエアコンなどに巣を作ってしまうと故障や品質低下の原因になりかねません。
このように、たかがアリと油断していると食材の被害や思わぬトラブルにつながることがあります。室内でアリを見つけたら、早めに対処するに越したことはありません。
そもそもアリはどこから家に侵入してくる?
アリを駆除する前に、まず侵入ルートを特定することが重要です。一匹ずつ退治しても、アリが入ってくる入口をふさがなければ次々と侵入されてしまうためです。体が小さいアリは、家の構造上のわずかなすき間からでも入り込んできます。考えられる主な侵入経路をチェックしてみましょう。
- 建物の隙間や配管まわり: 壁のひび割れ、小さな穴、配管やケーブルを通す隙間などは、アリにとって格好の通り道です。コーキングが劣化して生じた微細な隙間からも簡単に入り込んでしまいます。
- 窓やドアまわり: 網戸やサッシのわずかな隙間、玄関ドアの開閉時なども侵入ルートになります。特に窓を開け放しているときは注意が必要です。アリは壁をよじ登れるため、2階の窓であっても油断はできません。
- 屋外から付着して運ばれる: 家の周りに置いた植木鉢の中に巣が作られているケースもあります。そのアリが玄関先から室内に入ってくることもあります。また、外で干した洗濯物にアリが付いて室内に入り込んだり、宅配荷物やペットにくっついて侵入する例もあります。
こうした経路を疑いながら、もっともよくアリを見かける場所から屋外へ続くルートを辿ってみてください。床や壁の隙間をアリが行列になっていないか目で追っていくと、意外なところから侵入しているのが見つかることがあります。侵入場所が判明したら、後述する対策でしっかりふさぎましょう。
家の中に出たアリを駆除する方法
では、実際に室内でアリを見つけた際の効果的な駆除方法を順を追って説明します。ポイントは、目に見えるアリだけを取り除いて終わりにしないことです。根本的な解決には、侵入経路や巣ごと退治する対策が必要になります。
1. 侵入口を見つけてふさぐ: まず初めに行いたいのは、アリが入ってきている侵入口を特定して封鎖することです。先ほど挙げたような経路を調べ、壁の割れ目や窓枠の隙間など発見した穴はパテやシーリング材でしっかり埋めましょう。入口がわからない場合でも、疑わしい隙間は念のため塞いでおくと安心です。
2. 室内にいるアリを徹底的に駆除する: 次に、今家の中にいるアリを全て退治します。目につくアリはティッシュでつまんで捨てたり、スプレー式殺虫剤を吹きかけても構いません。一時的な対処として掃除機で吸い取る方法も有効です 。その際は、吸い取った後にゴミパックをすぐ廃棄するか、屋外で中身を処分してください(袋の中でアリが生きていると再び出てくる恐れがあるためです)。視界にいるアリを一匹残らず駆除し、これ以上増えないようにします。
3. 巣を見つけて駆除する: 室内や家の敷地内にアリの巣がある場合は、巣ごと駆除することが重要です。巣が特定できた場合は、その場所に直接殺虫剤を噴射するか、巣の近くにアリ用の毒餌剤(ベイト剤)やジェルタイプの駆除剤を設置しましょう。毒餌タイプは働きアリに毒を持ち帰らせて巣全体を退治する効果が期待できます。巣が見当たらない場合でも、アリがよく現れる場所に市販の設置型駆除剤(いわゆる「アリの巣コロリ」など)を置いておくと効果的です。アリはエサを巣に持ち帰る習性があるため、知らない間に巣ごと駆除できることがあります。
4. 侵入経路に薬剤や忌避剤をまく: アリの侵入ルートがわかっている場合は、その経路に沿って殺虫剤や忌避剤を散布しておきましょう。市販の粉末タイプの殺虫剤を窓枠の隅や床の隙間にまいておくと、外から新たに侵入してくるアリを防ぐバリアになります。殺虫成分入りのチョーク(蟻用の粉チョーク)を隙間に引いておくのも手軽な方法です。また、「できれば強い薬剤は使いたくない」という場合には身近なものを活用した代替策もあります。例えばお酢(酢酸)にはアリが嫌がる匂いの成分が含まれているため、水と1:1に薄めてスプレーボトルに入れ、侵入口に吹きかけるとアリ避けスプレーとして機能します。その他にも、シナモンパウダーやコーヒーの出がらし、重曹(ベーキングパウダー)などを隙間に少量置いておくと、アリが嫌がって近寄りにくくなると言われています。これらは食品由来のものなので、小さなお子さんやペットがいるご家庭でも比較的安心して使える点がメリットです。
なお、一般的に住宅に侵入するアリは毎年5月~10月頃に活動が活発になります(岡山県内でもやはり夏から秋口にかけて多く発生します)。この時期はとくに注意して、見かけたらすぐ上記のような対策を実行すると良いでしょう。逆に寒い冬の間はほとんど姿を見なくなりますが、油断は禁物です。暖かい季節になって慌てることのないよう、早め早めの予防と駆除を心がけましょう。
アリを寄せ付けないために日頃からできること
一度アリを駆除できても、生活環境によっては再び侵入される可能性があります。 アリを遠ざけるために、日常生活の中で次のポイントに気をつけてみてください。これらはアリだけでなく他の害虫対策にもなる基本項目です。
- 生ゴミや食べこぼしを放置しない: キッチンの生ゴミやテーブル下の食べカスはアリの格好のエサになります。特に暑い時期は腐敗も早まって匂いも強くなるため、こまめにゴミを片付け、食べ物の食べこぼしもその都度きれいに拭き取りましょう。
- 果物は長時間常温保存しない: 甘い果物の香りはアリを誘引しやすいです。夏場に果物を室内に出しっぱなしにするのは避け、可能であれば冷蔵庫で保管するなどして甘い匂いを室内に充満させない工夫をしましょう。
- ゴミ箱にはフタをする: 台所や部屋のゴミ箱は密閉できるタイプのフタ付きが望ましいです。フタがないと生ゴミの匂いが部屋中に広がり、アリだけでなくハエなど他の虫も呼び寄せてしまいます。簡易的にはポリ袋で二重にくるむなどして匂い漏れを防ぐだけでも効果があります。
- 木材の腐食部分は補修・防腐処理を: 床下や柱など家の木部が腐って柔らかくなっていると、その部分にアリが巣を作ったり、シロアリが発生するリスクがあります。発見した場合は早めに補修するか、防腐剤の塗布や交換リフォームを検討しましょう。シロアリ被害が広がると家屋の強度低下にもつながるため要注意です。
当たり前のことのようですが、意識しないと見落としがちな点でもあります。日頃から室内を清潔に保ち、食品やゴミの管理を徹底することで、アリが寄り付きにくい衛生的な環境づくりを心がけましょう。こうした小さな積み重ねが、長期的に見てご家族の快適な暮らしを守ることにつながります。
プロの駆除業者に依頼した場合の費用はどのくらい?
「市販の薬剤で対処しても次々にアリが出てきて困る」「そもそも巣がどこにあるか見当がつかない」といった場合は、害虫駆除のプロに依頼することも検討しましょう。専門の業者であれば、家庭では難しい場所の巣にも特殊な薬剤や技術で対処してくれます。依頼する際に気になる費用相場ですが、アリの駆除料金は被害の程度や家の構造によって変わってきます。目安としては以下の通りです。
- 簡易な駆除の場合: 巣の除去が不要な軽度のケースであれば、約2万円前後から依頼可能な業者が多いようです。発生源の特定と薬剤散布だけで済むような場合の料金イメージです。
- 巣の場所が厄介な場合: 「壁の中に巣がある」などで壁を開口して作業する必要があるケースでは、5〜10万円程度と高額になることもあります。作業が大がかりになる分、人件費や工事費用がかかるためです。
- シロアリも発生していた場合: アリが発生している家では、同時にシロアリ被害が見つかるケースも珍しくありません。アリにとってシロアリは絶好のエサになるため、アリを追って調査していたら床下からシロアリの巣が発見された…という例もあります。その場合、シロアリ駆除も含めた施工になるため費用が10万円以上に達することもあります。ただし放置すると住宅の被害がさらに広がる恐れがあるため、専門家による徹底駆除で早期に解決するほうが結果的には安心です。
実際の費用は住宅の広さや構造、アリの種類(外来種のトビアリやアルゼンチンアリなどは再発防止処置が必要なケースも)によって変動します。見積もりは無料で行ってくれる業者も多いので、被害が深刻なときは無理に自分で抱え込まずプロに相談することも検討しましょう。 専門業者に任せれば再発防止のアドバイスも受けられるため、長期的な安心感につながります。
まとめ
- 室内でアリを見つけたら、まず侵入経路を突き止めてふさぐことが大切です。 アリの通り道になりそうな隙間を見逃さずチェックしましょう。
- 家に入ってきたアリは放置せずすぐに駆除し、可能なら巣ごと退治します。 殺虫剤や毒餌を活用し、侵入ルートには薬剤や忌避剤をまいて再発を予防します。
- 日常的に室内を清潔に保つことで、アリを寄せ付けにくくできます。 生ゴミや食べ物の管理を徹底し、住まいの衛生環境を整えることが肝心です。他の害虫予防にも有効な基本対策と言えます。
- 手に負えない場合やシロアリが見つかった場合は、専門業者への依頼も検討しましょう。 放置して被害が広がる前にプロの力を借りることで、住宅へのダメージを最小限に抑え安心を得られます。
アリの発生は放っておくと厄介ですが、適切な対処をすればきちんと解決できます。大切なマイホームを守るためにも、早め早めの対策と予防を心がけましょう。私たち**Torus不動産合同会社(岡山市北区)**でも、家に関するご不安やご相談があればしっかりサポートいたします。住宅購入後の「こんなはずじゃなかった」を減らし、お客様に末長く安心・快適に暮らしていただけるよう努めております。お住まいに関する疑問やお困りごとがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。スタッフ一同、皆さまの快適な暮らしづくりを全力でお手伝いいたします。