
夏は不動産市場の閑散期
日本の不動産市場には明確な繁忙期と閑散期があります。一般的に1~3月(春先)と9~10月(秋口)は新生活や企業の異動に伴って物件需要が高まる繁忙期となります 。一方、6~8月の夏場は不動産業界最大の閑散期と言われています 。梅雨から猛暑へ移るこの時期は、雨天や酷暑で引っ越し作業が敬遠されることもあり、不動産会社への来店者数や物件探しをする人がぐっと減少します 。
実際、首都圏のデータでも毎年8月は中古住宅の成約件数が大きく落ち込む傾向が確認されています 。新年度直前の2~3月に比べ、真夏は「物件が動かない季節」になるのです。とはいえ物件の販売在庫数自体は大きく減るわけではなく、むしろ8月時点で市場に残っている物件数が年間で最も多いケースもあります 。買い手にとっては、**「売り物件が多いのにライバルが少ない」**絶好の状況が生まれやすいのが夏なのです。
夏に家探しをするメリット
夏が閑散期であるからこそ、購入希望者・借り手側にはさまざまなメリットがあります。以下、専門的な観点から夏の家探しが**“おすすめ”**と言われる理由をまとめます。
- 競争が少なく、マイペースで物件選びできる … 7~8月は物件探しをする方自体が少ないため、繁忙期のように「良い物件はすぐ他の人に取られてしまう」心配が減ります 。比較的じっくりと自分のペースで物件を検討でき、納得のいく住まい探しが可能です 。
- 不動産会社が丁寧に対応してくれる … 繁忙期には仲介業者も多数の顧客対応に追われがちですが、閑散期である夏場は担当者に時間的ゆとりが生まれます 。その結果、個別の要望や相談にもじっくり乗ってもらいやすい時期と言えます 。初めての家探しで不安が多い方でも、この時期なら手厚いサポートが期待できるでしょう。
- 売主が価格交渉に応じやすい(買い手市場) … 夏休み前後は「今ある物件を何とか成約させたい」と考える売主・仲介業者が多く、買い手有利な交渉が成立しやすくなります 。実際、8月のように市場の動きが鈍い時期は慎重に価格交渉しやすく、普段は難しい値引きも通りやすい傾向があります 。もちろん相場とかけ離れた大幅値下げは簡単ではありませんが、総じて夏場は物件購入における交渉余地が広がる時期と言えるでしょう。
- 賃貸条件の優遇(家賃・初期費用がお得) … 賃貸物件の場合、夏場に空室を抱えるオーナーや不動産会社は早期に入居者を確保したいため、家賃の値下げや初期費用減額などのキャンペーンを打ち出すケースが増えます 。例えば、敷金・礼金ゼロ物件が出たり、数か月間のフリーレント(無料賃貸期間)が付与されるなど、繁忙期には考えられない好条件が提示されることもあります 。実際、公的賃貸のUR都市機構でも夏季限定で「家賃2か月無料+特別割引家賃」のキャンペーンが行われた例があります 。こうしたチャンスを活用すれば、初期コストを大幅に節約できるでしょう。
- 引っ越し費用が安く抑えられる … 不動産の動きと連動して引っ越し業界にも繁忙期・閑散期があります。春先は引っ越し業者も予約が取りにくく料金も高騰しがちですが、夏場は需要減により引っ越し料金が繁忙期より安くなる場合があります 。日程の調整もしやすく、希望日に引っ越ししやすいのも利点です。閑散期の割安な引っ越しプランを利用できれば、トータルの費用負担も軽減できます。
以上のように、夏の家探しは**買い手・借り手に有利な「掘り出し時」**となる要素が多いのです。暑さで外出が億劫になりがちな季節ですが、だからこそ得られる恩恵に目を向ければ、理想の住まいをお得に手に入れるチャンスと言えるでしょう。
夏の内見で確認したいポイント
物件探しでは実際に現地を見学する「内見(内覧)」が重要ですが、夏ならではのチェックポイントがあります。猛暑の環境下で内見することで、他の季節には分かりにくい物件の特徴を知ることができます 。以下の観点に注目してみましょう。
- 日当たり・遮熱 … 夏の日差しの中で部屋の明るさや温度上昇具合を確認します。直射日光が入りすぎて室温が上がりすぎないか、遮光カーテンや断熱ガラスの効果は十分かといった点は重要です 。日当たりは洗濯物の乾きやすさなど生活面にも影響するため、方角や周囲の建物による日陰の有無もチェックしましょう。
- 断熱性(室内環境) … 壁や窓の断熱性能が低い物件は、夏場に冷房の効きが悪く室温が下がりにくい傾向があります 。内見時にエアコンをつけてみて冷房効率を体感したり、部屋ごとの温度差を感じ取ってみてください。断熱性の高い住まいは冷暖房費の節約にも直結します。
- 通風・換気の良さ … 日本の夏は高温多湿のため、風通しの良し悪しで室内環境は大きく変わります。窓を開けた際に十分な風が通るか、対面する窓の配置や数は適切かを確認しましょう 。梅雨時に発生しやすいカビや湿気臭がこもっていないかもチェックポイントです。夏場の空気の滞留は健康面にも関わるため、換気のしやすさは重要です。
- 騒音環境 … エアコンや窓を開けて生活する夏は、外部の音が気になりやすい季節です。周辺の交通量や近隣の生活音がどの程度室内に入るか、時間帯を変えて確認すると安心です 。暑い日中は静かでも、夜間に窓を開けたら車や虫の音がうるさい、ということもあります。内見時に実際の音環境を確かめましょう。
- 害虫の発生状況 … 夏はゴキブリや蚊など害虫が最も出やすい季節です。室内に虫の死骸や侵入経路になりそうな隙間がないか、網戸の破れがないかをしっかり見ておきます 。庭やベランダがある場合は、水たまりや雑草の放置が虫を呼んでいないか確認が必要です。害虫の出やすさは住み心地に直結するため、夏の内見だからこそ住環境の衛生面も評価しましょう。
このように、夏場の内見では住宅の断熱性能や環境への耐性を見極める絶好の機会になります。気になる物件があれば猛暑日や真昼の時間帯にも訪問し、**「夏を快適に過ごせる住まいかどうか」**をチェックしてみると良いでしょう。
夏の家探しで気を付けること
メリット豊富な夏の家探しですが、押さえておきたい注意点もいくつかあります。
- 市場に出回る物件数はやや少なめ … 前述の通り夏は新規物件が出にくい時期でもあります。特に賃貸では春に出尽くした後で空室が残っている状態が多く、希望条件に合う物件が見つかりにくい場合もあります 。そのため、理想の物件が少ないと感じたら希望エリアや条件を多少広げてみる、あるいは秋口以降に出る可能性のある物件情報を不動産会社に早めに相談しておくなど工夫しましょう。
- 猛暑による体力負担・スケジュール調整 … 炎天下での物件見学や引っ越し作業は、想像以上に体力を消耗します 。熱中症のリスクもあるため、内見時は水分補給や適度な休憩を忘れずに、涼しい時間帯(午前中か夕方以降)を選ぶようにしましょう 。夏季は不動産会社もお盆休みなど長期休暇をとる場合がありますので、内見や契約手続きの日程は余裕をもって計画することをおすすめします 。
- 「この物件だ!」と思ったら逃さない … 閑散期とはいえ、本当に条件の良い物件が市場に出れば競争になります。夏に出会った“掘り出し物”は、季節に関係なく早い者勝ちです。不動産との出会いはタイミングが命とも言われます 。ピンとくる物件に巡り合えたら、「涼しくなってから考えよう」と先延ばしせず、すぐにでも行動に移すことが大切です。
まとめ~夏のチャンスを逃さず理想の住まい探しを
暑い夏は敬遠されがちな家探しのシーズンですが、見方を変えれば買い手・借り手にとってのチャンスが詰まった時期です。閑散期ならではの有利な条件を上手に活用すれば、普段よりも好条件で理想のマイホームや賃貸物件を手に入れられる可能性があります。夏に物件を探すメリットとポイントを押さえつつ、ぜひ積極的に住まい探しを進めてみてください。
私たち**Torus不動産合同会社(岡山市北区)では、地域の不動産売買から賃貸まで幅広くご相談を承っております。夏場であってもお客様一人ひとりに丁寧に対応し、理想の物件探しを全力でサポートいたします。「暑い時期だけど良い物件に出会いたい」**という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。夏こそ、不動産探しの好機です。この機会を逃さず、あなたにぴったりのお住まいを見つけましょう!